H.A.S.Market - 建築家長谷部勉の一級建築士事務所「H.A.S.Market」

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# TBD-4 倉庫改修

データセンター

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COMMENT

倉庫の改修によりデータセンター事業の拡充を図るため施された一連の増床及び改修の四期目の計画である。三期と同様に計画は確定しており、意匠デザインに関わる部分の提案および調整を計ることが主な業務となった。
これまでの計画と大きな違いは、拡張された施設全体の電気容量を包含する為の電気室がその大半を占めていた事、主要エントランスの拡張や、監視センターの一極化、増幅に伴い不充分になった会議室の増設がその主な目的にあった事などである。本施設は、四期に渡る増床を繰り返し、拡張を続けてきた。データセンターという施設が何なのかを理解している人がほとんど居なかった事業開始当初の需要予測を大きく上回り、その増幅は隣の棟にも及ぶこととなった。更に夜間の受付、施設管理の統合・効率化を図る目的で、セキュリティ機能を兼ね備えたサブエントランスの設営、それに付帯する自販機コーナーの設営が計画されていた。層構成の違いや、他のテナントとの関係から、やむを得ず通路やELVホールといった動線にしか使えないようなスペースが随所に計画されていたが、施設の中でそれらを有効に運用させる手立て、空間の提案が求められていた。
その一つがELVホールの余剰スペースを活用したTV観賞コーナーである。情報を管理・管轄するという執務においては、常に能動的に情報へアクセスすることが強いられる。しかも持続的に行なわれ、こもる様な状況になることもある。そうした環境に身をおいている人たちにとって、一般のTVからの情報は、意図しない情報、言ってみれば、垂れ流しのような受動的な情報ではあるが、センター内においては、唯一、世間の様子や、話題に触れることが出来る場になるのではないか、二つの棟をつなぐジャンクションのような場所は、動線とはいえ、何かしらの仕掛けがあれば、ふと移動の足を止め、気分転換を促す場になるのではないかと考えた。具体的には床から照射した間接照明とTVであるが、データセンターには無用とも映るこれらの仕掛けが、施設全体の居心地の良さ、親近感の享受やその場の快適性に寄与する事につながるのであれば、有効に働いたことにもなる。
そうした思いで提案したスペースである。
サブエントランスに設けられたベンダーコーナーの内装においては、これまでの仕上の方針である“既成工業製品の活用”を更に増強させ、500角の鋼製OAフロアを壁に張るということを試みている。強度の為に背面に設けられたタコ焼き器のような凹凸面を表にして、広い壁面全体に張ることで、不思議な陰影が壁に生まれる。
本来の使い方とはかけ離れたものであるが、陰影という空間表現上の情緒を、既製の工業製品が創り出すというアイロニーが単純に面白いと思った。

 

担当者 H.A.S.Market
対象面積 1,046㎡
対象階 1階・3階

DETAIL

設計者 テラダ設計事務所
所在地 東京都品川区
竣工 2006年8月
主要用途 データセンター
主体構造 SRC造
階数 地上5階 地下1階
業務内容 意匠設計協力
施工者 東急建設株式会社
撮影 田中宏明

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