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西側外観 西側外観 ガレージ入口 1階内観 1階浴室 階段室 2階寝室 3階リビング・ダイニング
EFR
設計者 H.A.S.Market
所在地 東京都杉並区
竣工 2008年2月
主要用途 住宅
主体構造 S造
延床面積 110㎡ (約33.2坪)
階数 地上1階 地下2階
業務内容 デザインコンサルティング
施工者 OSTブレーン
撮影 田中宏明
依頼内容は稀な内容であった。
「某建築家により計画・設計された鉄板構造の建物がトラブルにより工事中断、躯体のまま風雨にさらされ、雨が地階に溜まっている。現在請け負った業者との間で争そっている最中であるが、錆の進行が心配なので、地下を含めた3層におよぶガランドウを、コストを極力かけずに暮らしの出来る器に替えて欲しい。」というものであった。
建物を見にいくと、依頼主の言っていた通りの悲惨な状態であった。雨仕舞を一切無視したような納まり、精度の出ていない躯体、どれを見てもまともではない。依頼主にトラブルの事情を聞くと、その建築家には、工事監理を依頼していないという。これは想像でしかないが、多分、技術力がさほど高くない業者が安請け合いをしてしまい、設計者の適切なチェックを受けないまま、予想外に難易度の高い工事についていけず、途中で投げ出したのだろう。工事監理を建築家に依頼しない事による弊害が、如実に現れていた。
そんな状況ではあったが、建物の窓前に広がる大きな公園を含めたロケーションはすばらしく、それに対比をなすようなシンプルな空間の骨格は「さすが」といわざるを得ないほど見事なものであった。また、芸術活動に身を置いている依頼主は、発想が極めてユニークで、一転二転を繰り返すその打合せのプロセスは大変興味深いものであった。打合せの度に言うことが変わっていく事に憤りを感じ、疲弊するような事もあったが、自由な発想を心掛けていた我々が、かなりの部分で既成概念にとらわれている事を思い知らされ、それが浮き彫りになるような発見的なやり取りであった。
右往左往を繰り返したが、コストとの兼ね合いで、最終的なプランはきわめてシンプルなものとなった。空間の骨格と広がりは既存のままに、地階には浴室、1階にはトイレ、2階にはキッチンを単純に設置し、最低限の住居の機能を充足、後は全てを余剰スペースとし、間仕切り等スペースの分節は暮らしながら考えるというものであった。外装は既存鉄板の上に暮らしに必要な断熱層と、通気層を作り、その厚みの中で水切り等の雨仕舞に必要な基本性能を納め、外装材として一番安価なガルバリウム鋼板の小波板を張っている。開口部のサッシは既存活用に加え、安価な木造住宅用サッシを設置している。また、屋根は窓のある面の軒を大きくはね出すようにし、雨天時にも窓の開閉が出来るようにした。
どんなにユニークな発想とやり取りをしても、風雨から建物を守るということがこのプロジェクトの至上命題である事に変りは無かった。依頼主の「暮らせそうな安心感がある。」という言葉と、竣工時の満足げな顔が、様々な軋轢を全て払拭してくれた。
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