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ISH

板橋の家

住宅

東側外観
東側外観
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情報大爆発時代になったからだろうか、全体像をつかめないまま氾濫する情報から都合が良いものだけを抽出し都合良く解釈するといった性質を持つ建築主が多くなった様に思う。そして昨今は我々建築設計事務所にそれらの整理や統合といった業務も求められることが多くなった。その範囲は従来の設計・監理だけに留まること無く、建築主の生活を取り巻く様々な問題を解決するところまで拡大し、他方で昨今の建設コスト上昇への対応が厳しく求められるといった具合に、我々側から見れば様々な矛盾を抱えている。
そんな状況下ではあったがそれらを合理的に解決できる方法として、今回は従来のやり方をあらため設計施工分離型性能発注方式を採用し業務を進めた。
一般的な性能発注方式は、あらかじめ性能とコストを決めて施工者に発注し、施行者からの意見を取り入れながら建築物をつくって行くが、今回はそこに設計者も加わるといった方法だ。この方式は建築主、施工者、設計者の信頼関係を構築し、それに依存しなければばならない部分がそれなりにあるが、それらをとりまとめるコミュニケーション•スキルも設計者の能力の一部なのではないかと考えられた。
建築主のニーズに寄り添い、住まい手が納得できる住宅づくりは重要ではあるが、建築(ここでは概念としての)をおざなりにするようなことはあってはならない。そこで様々な条件を勘案しながら住宅を構成する機能を3つのS(Space,Service,Step)に分解し、StepによりSpaceとServiceを緩やかにつなげる空間構成とした。断面構成としてもなるべく単純化した空間を3つ積み上げているだけである。
与条件よりここの住まい手は変化して行くことが想定されているが、この構成が住まい手や季節の変化に対応して行く住宅になると考えた。
設計図は最終形をイメージした上で作成される。そして我々は様々な資料を用い建築主にそれを事前に説明しようとするが、実際に出来上がるものと建築主のイメージには必ず差異が発生する。また、住宅のプランニングは様々な要素により決定されるが、今回の計画はそこに段階的に変化する建築主の価値観が加わり変形することになる。扉を付け加えることのより変形する階段形状、開閉方向の変更により変わる窓枠、外壁の変更による納まりの変更等はさながらJAZZのセッションの様ではあるが、それを身体的あるいは有機的であると捉えデザインして行くことが求められたように思う。我々の計画を押しつけるのではなく、あるいは強いカタチを与えるのではなく、建築としての意味性を消去した建築を目指した。住宅にあらかじめガイドを引くあるいは生活を規制するようなことはしていないが、竣工してから増殖する樹木や日々変化しているインテリアを見ていると、この建築のプロセスは正しかったと思える。
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設計者H.A.S.Market
担当者長谷部勉
所在地東京都板橋区
竣工2014年12月20日
主要用途専用住宅
主体構造木造(在来工法)
敷地面積71.98u
延床面積110.13u
(約33.3坪)
階数地上3階
最高高さ7.908 m
業務内容設計・監理
施工者ホームビルダー
撮影古谷賢,鹿田健一朗
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