2013年3月23日

場所の力

隈研吾さんの「場所の力」と題されたレクチャーを拝聴させていただきました。プロローグはリスボンやシカゴの例を参照しながら災害以降の建築の変化についての考察。神に依存するという受動的な思考から自分達がなんとかしなければならないという能動的な思考への変換。これらは近代化が加速するきっかけのひとつだという内容。

ここまでは歴史を回想することで普通に理解できるし隈さんの著書「場所原論」にも書かれていた内容だったと思います。プロローグの後は自論にシフト。要約すると3.11以降の建築の変化は物質強度を高める方向に変化するのではなく自然を理解してつくる方向に進むべきだという内容。自然と人工物の対立ではなく共存。氏のコトバを借りると自然にどう負けるかということになる。

自然に負けると書くと誤解されるかもしれませんが、負けるというのは自然災害に負けるということではありません。適切な場所に建っていれば物質強度が強いとはいえない木造住宅の方が豊かな暮らしができる場合もあるし、自然との接続方法を考えた時に木造を選択する方が良い場合もあるということ。もちろん災害にも対応できることが前提。

また災害に過剰反応して場所を選定すれば良いという訳ではありません。敷地の選定は多様な要素とのそれらの関係性の中から決まります。現在着工準備中の「諏訪の家」(下記のドローイング参照)は河川に隣接していますが、その場所の豊かさを活かしながら接続する方法を我々なりに考えたもの。災害に過剰反応することなく、自然との関係性をデザインしていると思っています。そして自然災害にも配慮しているつもりです。

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話が少々脱線したましたがレクチャーの内容に戻します。スクリーンに映し出された隈さんが作品は、自然と人工物を対比させてとらえる欧米型の近代化では無く、自然と人工物とを区別することなく関係性をデザインする日本的思考によるものだとあらためて。さらには地元の材料を使い建築することにより地元経済の活性化と同時にモチベーションを高めるという手法まで内容は拡張する。

全体的に素晴らしいレクチャーだったがボクにもっとも響いたのはエピローグで伺った小さいものの方が自然に強いという話し。最新の著書「小さな建築」を読むしかない。レクチャーが終わりしだいフランスに移動されるということで、掘り下げた話をすることはできませんでしたが、もろもろ考える機会をいただきました。ありがとうございます。

長谷部勉

投稿者 システム管理者 : 2013年3月23日 23:58