2012年10月15日

H24年度一級建築士設計製図試験雑感

10月14日(日)に本年度の一級建築士設計製図試験があった。本年の課題は「地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)」。友人の某建築家は「建築脳」が試される試験だと言っていたが、ボクもそれには同感だ。
試験問題は一見簡単そうに見えるかもしれないが、言葉の使い方や構成の工夫なども含め、新試験制度以降の最高傑作だと思われる。作問者に敬意を払いたい。
詳細の解説は資格学校の発表に委ねるが、中身について少しだけ触れると、アプローチや搬入動線の選択肢が幾つか用意されると共に、設置階や吹抜けの位置も多様な選択肢が用意されるといった両義性が目につくというのがざっくりした課題の印象。
公園側からのサブエントランスの要求目的がメインエントランスから公園に通り抜けできる計画にすることなら、エントランスホールは直線状に設けたいところだが、周辺環境を考慮しながら1階に図書部門を計画した場合、搬入動線は極端に取りにくくなったはずだ。
課題要求に無い搬入動線を取る必要は無いかも知れないが、建築としてどうなのかを考えながら、採点の指針を想定してみたが、考えれば考える程わからなくなる。
課題を入手しボクも解いてみたが、明快なゾーニングを目指してフロアゾーニングをするなら、ボリューム的に小ホールが1階になると思えるが、その解答の階高は非合理になるし、小ホールを1階にするメリットも感じられない。
やはりメイン機能としての図書機能をメインフロアに置きながら、考えるのがオーソドックスだと思う。そしてそれらの案には多様な解答が想定出来るし、建築的な傑作をつくりうることも出来ただろうが、受験者の皆さんは6.5時間という時間の縛りに手を焼いたと思われる。
結果として、時間が掛かり表記忘れや簡易化された成果品を提出したことになった方が多かったのではないかと思うが、某資格学校の発表によれば未完成は10%を切るとのことなので、未完による失格者が多量に生産される訳では無さそうだ。
建築的な素養ももった受験者は多角的に悩み、逆に知らないことが多い受験者は簡単に解くことが出来たのかも知れないが、結果だけを見て判断して良いのだろうか。多様な条件を整理し応える能力があれば、過多な知識は不要だと考えているのか?? 条件が整理された空間構成が結果に作用することになりそうだ。今後発表される資格学校等の解説に注目したい。
いづれにしても昨日の試験は長い目でみると通過点の一つに過ぎない。結果は出さなくてはならないし、良い結果がでれば今後の組み立て方が変わってくるのは確かだが、思う様な結果が出なかった場合は、自身の取り組みを再考しながら、気持ちを切り替え再度挑む必要がある。建築の楽しさに少しでも触れ、楽しみながら受験できるようになれば自ずと力量があがり合格できると思う。
受験者の皆様、とりあえずお疲れ様でした。
長谷部勉

投稿者 システム管理者 : 2012年10月15日 16:36